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【ビジネス法務】精神疾患と労働災害

コラム2019/9/13

『ビジネス法務』2019年9月号の連載、「会社がすべきこと・しなくてよいこと〜メンタルヘルス不調者への対応実務」は最終回。「精神疾患と労働災害」がテーマになっています。精神障害と労災認定は自殺の事案がよく報道でも取り上げられますが、自殺以外の精神疾患が労働災害に当たるとして、労災申請を行う事例もよくあります。労災認定がなされれば、実務上、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求につながる場合も多く、深刻な紛争に発展する可能性が高くなります。事前にリスクを理解していれば、自ずと対応が変わり紛争の予防につながります。

 

内容は下記のとおりです。

  • Ⅰ 年々増え続ける精神障害の労働災害件数

    Ⅱ 最近増えている「労災申請しますよ」

    Ⅲ 精神障害について会社の安全配慮義務違反が認められた場合の賠償額
    1)労災認定されていること
    2)長期化していること
    3)賠償額が高額化していること

    Ⅳ 精神障害について労災申請が行われる可能性があるケース
    1)長時間労働と休職期間満了退職(解雇・自然退職)のケース
    2)パワーハラスメントと休職期間満了退職(解雇・自然退職)のケース

    Ⅴ 精神障害について従業員(元従業員)が労災申請を行った場合の対応
    1)事業主証明
    2)意見書作成

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<太田・小幡綜合法律事務所の弁護士解説>


精神疾患の労働災害の件数は、年々増加傾向にあり、これは平成23年12月26日に発表された「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」が影響しているものと考えられます。
そして、労災が認定されると、裁判実務上、会社の安全配慮義務違反が認められやすくなる上に、最近の傾向として、労働者の会社に対する安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求訴訟が長期化、賠償額の高額化が進んでいることも注視すべき点であるといえます。
メンタルヘルスに不調を来して休職したところ、その後解雇や自然退職という扱いになってしまうこともあるかと思いますが、真実はともあれ、労働者からしてみれば、「自分の体調が悪いのは会社の長時間労働が原因だ」と考えて、かかる扱いに異議を唱えることは容易に考えられます。
もちろん事実関係にもよりますが、場合によっては労働者に共感を示したり、謝罪をしたりして、相当な措置を講じた方が、訴訟に至った場合よりも、早期解決、低額での解決に資することもあり得ます。
他方で、労働者の側から「労災申請を行いたいので協力してほしい」と要請してくることがありますが、前記のとおり、労災が認定されると、会社の安全配慮義務違反が認められやすくなるという裁判実務を踏まえ、会社としては慎重に検討する必要があります。
以上のとおり述べましたが、本稿では具体的な対応方法などにつき詳細に解説されておりますし、特に人事管理にとっては非常に重要なポイントでもあります。
是非この機会にご一読ください。

(弁護士 京谷 周)


協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)

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