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【ビジネス法務】「民法改正で変わる契約書・書式のオールガイド」

コラム2020/2/5

『ビジネス法務』2020年2月号の特集は「民法改正で変わる契約書・書式のオールガイド」です。2017年に成立した改正民法(債権法)の施行が2020年4月1日に迫っています。今回の特集では、改正債権法で変更する必要のある契約書やその他関連する書式についてポイントを取り上げています。

・売買契約
新法では売買契約書で多く規定されている解除、債務不履行に基づく損害賠償や危険負担についても改正がなされた。こちらは必ずしも大きな影響はないが、「契約不適合責任」へと大きく変わった「瑕疵担保責任」条項については手当が必須になる。

・賃貸借契約
新法では賃貸借の分野にもさまざまな改正がなされている。敷金に関するもの、賃借物の修繕に関するもの、賃借物の一部滅失による賃料の減額に関するもの、賃借物の一部滅失等による契約解除に関するもの、賃借物の全部消滅等による契約終了に関するもの、原状回復業務に関するもの、連帯保証に関するものが主としてあげられる

・業務委託契約
業務委託契約は一般的に、請負または準委任、あるいはその両方の性質を有している。請負人の瑕疵担保責任について、新法では「契約不適合責任」に一本化された。改正をふまえ、業務委託契約の見直しが必要なポイントがある。

・消費貸借契約
新法への対応としては、法定利率および遅延損害金、期限前弁済について見直しを検討することが想定される。また、諾成的消費賃借契約を締結するケースにおける条項も検討が必要である。

・保証契約
保証契約について見直しが必要な主なポイントは以下になる。履行の請求の効力、保証契約締結時における主債務者の情報提供義務、継続的契約における個人根保証の極度額設定、事業用融資における個人の第三者保証の制限、主債務者の保証人に対する情報提供義務、債権者の保証人に対する情報提供義務。

・債権譲渡契約
新法では、譲渡禁止特約のルールが変更され、債権の譲渡を制限する意思表示に反した債権譲渡も有効としたうえで、一定の場合に債務者は債権の履行を拒むことができるとされている。債務者の異議なき承諾による抗弁切断は廃止され、将来債権譲渡の有効性についても明文化された。

・定型約款
定型約款に関する規定が新設されたことで、約款を利用した取引を行っている事業者において、従来使用してきた約款の見直しの検討が必要となっている。

・施行日、経過措置
新法は令和2(2020)年4月1日から施行されることとなった。新法の施行日前に締結された契約や、すでに発生した債権債務について、新法・旧法のいずれの規定が適用されるのかについて慨観を掲載した。

以上の項目に関して、見直す必要があるもの。立場によって見直す必要があるもの。見直したほうが望ましいものにわけて、優先順位もつけられています。ぜひ、参考にしてください。



<太田・小幡綜合法律事務所の弁護士解説>


「特集1 民法改正で変わる契約書・書式のオールガイド 第2章 定型約款」(44頁~)

1 今回の民法(債権法)改正により、「定型約款」に関する規律が新設されます。

定型約款に関する規制の主なポイントは、⑴そもそも定型約款に該当するか、定型約款に該当するとして、⑵定型約款が有効に契約の内容となるか、⑶締結後の約款の変更、といった点にあるといえます。

2⑴ 民法でいうところの「定型約款」の定義に当てはまるかの検討は ①不特定多数の相手と行う取引で、かつ、②当事者双方にとって画一的であることが合理的であるか、という観点でなされます。
⑵ また、定型約款が契約の内容となるのは、①定型約款を契約の内容とする旨合意したとき、または、定型約款を契約の内容とする旨をあらかじめ表示していたときです。実務上は、定型約款を契約の内容とする旨の合意を取り付ける方法をとることが多いと思われます。さらに、約款条項のうち、①相手方の権利を制限し又は義務を加重する条項で、かつ、②信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、契約の内容となりません。自己に有利な契約をしたいという思いがあるため、約款を含め、常に契約実務の悩みどころであるといえますが、行き過ぎた権利制限・義務加重は、契約条項の無効を招来しかねません。社会通念に沿った慎重な検討を要します。
⑶ 民法の一般理論によれば、契約の事後的な変更には相手方の同意が必要ですが、定型約款を利用する不特定多数を相手とする契約において、すべての契約相手の合意をとるというのは、現実的ではありません。そこで新法は、約款の内容の変更に関する条文を新設し、相手方の同意を得ることなく一方的に契約の内容を変更する制度を設けました。契約の変更が許されるかの判断に際しては、「定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無」を考慮することとされているため、事後的な変更の可能性がある契約にかかる定型約款の作成に際しては、当該条項を盛り込むべきといえます。

 

 

(弁護士 菊地 紘介)

 


協力:中央経済社
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