コラム

column

事業者の支払猶予対策について

コラム2020/5/12

コロナ禍による緊急事態宣言によって、日本中の経済活動が停止しています。事業者にとっては売上が激減して、極めて厳しい資金事情となっております。事業者としては、資金対策が必至になっておりますが、その対策として支払の猶予を求める方策を検討する必要があります。
そこで、主な債務支払に関する支払猶予について、まとめてみました。なお、ご不明の点は、お気軽に当法律事務所にお問い合わせください。

弁護士 太田 勝久

 


 

1.賃料等の支払猶予

 現在、国会では、賃料についての国の支援策や支払猶予についての法案が審議されており、与党案はテナントとして入居する中小・零細企業に向けた補助金制度を検討しています。また、野党は不動産所有者が賃料の支払い猶予に応じた場合の支援を軸に調整を進めています。それらの施策が具体化するのを待つことも、大切だと思われます(2020年5月11日現在)。
 現在、国土交通省から業界団体を通じて支払猶予への柔軟な対応を依頼がなされており、賃貸人が取引先の賃料を減額・免除した場合の税務上の措置として、固定資産税の納付の猶予がなされます。

  ビル賃貸事業者向け支援(国土交通省)  
   https://www.mlit.go.jp/common/001343017.pdf

 

 賃借人の事業者の対策としては、賃貸人に事情を説明して、支払猶予の依頼を行うべきでしょう。また、必要に応じて、賃料の支払を控える、自動引落しの場合は停止措置を検討することが肝要です。他方、賃貸人としては、この緊急時において、賃料不払を理由に、いきなり契約解除することは妥当ではないので、事情に応じた円満な協議が望ましいと云えます。

 

2.賃金・給与の支払

 事業者にとって、賃金・給与は固定費として資金繰りの重要課題となります。
 その支援として、雇用調整助成金があり、休業や教育訓練を行った場合に休業手当や賃金等について、一定の助成率で助成するものです。

  中小企業の賃金相当額の助成率
   新型コロナウイルスの影響を受ける事業主 80%
   解雇をしていないなど加算要件を満たす事業主 90%
   ※対象労働者1人1日当たり8330円が上限(2020年3月1日現在)
   ※休業手当の支払率60%超の部分は助成率が100%となる予定(詳細は5月公表)その場合も、8330円が上限となります。

 事業者の対応としては、休業や自宅でのインターネット等を用いた教育訓練などを実施して、雇用調整助成金による賃金相当額の一部補填を受ける方策を検討すべきです。
 雇用調整助成金については、ハローワークや社会保険労務士、弁護士などに相談しながら進めるのがよいでしょう。

  厚生労働省リーフレット    
   https://www.mhlw.go.jp/content/000620879.pdf

  雇用調整助成金問合せ先一覧  
   https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10702.html

 

3.借入金等の支払猶予

 金融機関は、事業者からの元本の返済や利息の支払猶予の要請に対して迅速かつ柔軟に対応することとされています。

  金融庁リーフレット  
   https://www.fsa.go.jp/ordinary/coronavirus202001/06.pdf

 事業者としては、以下の対応を行う必要があります。
  ・金融機関の相談窓口に連絡して、支払猶予の要請を行う。
  ・自動引落しの停止手続を引落口座のある金融機関で行う。

 事業者が、必要に応じて、遠慮せずに金融機関に相談するべきです。

 

4.税金の支払猶予

 税金の支払猶予については、
  ・国税(所得税・法人税、消費税等)だけでなく、地方税も対象となります。
  ・1年間納付猶予、担保提供不要、延滞税も発生しません。

 税金の支払猶予の対象者は、
  ・新型コロナの影響により2020年2月以降、事業等に係る収入が前年同期に比べて、おおむね20%以上減少
  ・一度に納税を行うことが困難である方

 事業者は、税務署及び自治体に猶予措置を求め、申請書を提出する必要があります。

  財務省リーフレット
   https://www.mof.go.jp/tax_policy/brochure1.pdf

  総務省リーフレット
   https://www.soumu.go.jp/main_content/000686229.pdf

 

5.社会保険料の支払猶予

 社会保険料(年金や健康保険)の納付が困難な方に、猶予制度があります。
 猶予の対象者は、おおむね税金の納税猶予と同様の対応になります。
 ※納付の猶予については、やむを得ない事由により、事業につき著しい損失を受けた場合等に認められるとされており、「著しい損失」の内容は税金の場合と若干異なります。
 事業者としては、管轄の年金事務所や健康保険組合に早めに相談する必要があります。

  納付の猶予(日本年金機構)
   https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyonushi/sonota/20120330-02.html

 

6.公共料金・電話料金等の支払猶予

支払猶予を求める事業者は、以下の対応を行うことになります。

  【水道】
    都道府県の水道事業者(水道局)の相談窓口に猶予の要請を行う
  【電気・ガス・NHK】
    事業者の相談窓口に猶予の要請を行う
  【携帯電話・固定電話等】
    事業者がウェブ上で掲載する相談窓口に猶予の要請を行う

  総務省 電気通信事業者の料金支払期限の延長等の取組状況一覧
    https://www.soumu.go.jp/main_content/000682993.pdf

 

 

 

 

Copyright © 2020 PLAZA Law Office All rights reserved.