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【ビジネス法務】企業法務の「周辺学」

コラム2020/6/8

『ビジネス法務』2020年6月号の「特集」は「新人弁護士・法務部員が知っておきたい『周辺学』」です。国内・国外取引の流れや、税務・会計的な視点、法務実務に役立つ周辺知識をまとめて学ぶ機会というのはあまり多くはないのが現状です。法務部門の業務が多岐にわたる昨今、他部門への適切な法的アドバイスを行うために、どのような想像力が必要なのか。本特集では、これから法律実務家として活躍する新人弁護士・法務部員に向けて、法務部門に必要な「周辺学」の基礎を丁寧に解説されています。その中で、「印紙税の判断枠組みと具体的留意点」という項目。企業はその活動に伴い、日々、さまざまな文章を作成しているが、その際、避けて通れないのが印紙税の問題があります。印紙税が課されることを知らないまま文書を大量に作成してしまった結果、後に数千万から数億円という多額の過怠税を課されるケースが後を絶ちません。本特集では、印紙税判断の基本的な考え方が解説されています。

 

  • 内容
    Ⅰ 印紙税判断の全体像
    Ⅱ 判断ポイントの留意点
     1 課税事項の記載
     2 課税事項の証明目的
      3 「契約書」該当性
       (1)「契約書」には一般よりも広い範囲の文書が含まれる
       (2)「契約書」の定義
       (3)重要な事項
    4 記載金額
      (1)印紙代を左右する記載金額
      (2)契約金額
      (3)記載金額の計算
    5 所属の決定
    6 非課税規定の適用
    7 作成の有無と作成者
    Ⅲ おわりに  

  •  

 

<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

1 印紙税とは
契約書、受取書、証書、通帳などを作成する際に課税される税金をいい、国税に該当します。
印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られています。この課税文書とは、次の3つのすべてに当てはまる文書をいいます。①印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること(印紙税法2条参照)。②当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること(印紙税法基本通達2条参照)。③印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

2 課税文書に該当するかの判断ポイント
課税文書に該当するかどうかは、上記①の点及び②の点について、当該文書に記載されている内容に基づいて判断することとなります(印紙税法基本通達3条1項参照)。
もっとも、書面の表示のみで形式的に判断するのではなく、その文書に記載又は表示されている文言、符号を基として、その文言、符号等を用いることについての関係法律の規定、当事者間における了解、基本契約又は慣習等を加味し、総合的に行うものとされています(印紙税法基本通達3条2項参照)。
また、その他にも、印紙税額を決定するための記載金額の特定、一つの文書に20種類の課税事項が複数記載されている場合の所属の決定、上記③に関連して非課税規定の適用など、さまざまな論点が絡んでくるため課税文書に該当するかの判断は留意すべき点が多いです。

3 印紙税を支払わない場合の罰則等
印紙税を納めなかった場合には、印紙そのものを貼付しないときは納付すべき金額の3倍(自ら申告したときは1.1倍)、消印をしないときは消印をしない印紙と同額の「過怠税」が課税されることになります。印紙税であれば損金算入が可能ですが、過怠金となると損金算入ができない(法人税法55条3項参照)ため、課税文書作成の際には適正に印紙税の納付を行うことが一番の節税といえます。
ビジネス法務6月号では、印紙税についてさらに詳しく説明が掲載されておりますので、印紙税について興味を持たれた方は、是非ご一読なさることをおすすめいたします。

 

(弁護士 小西 瑛郁)

 


協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)

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