新規ビジネスを立ち上げる場合、自社のみで進めるより他社と提携した方が効率がよいという場合がよくあります。
このように他社と業務提携を結ぶ際に、法律上注意すべきポイントは何でしょうか。
一口に業務提携と言っても、研究開発における業務提携(共同開発契約等)、生産製造における業務提携(製造委託契約等)、販売における業務提携(販売委託契約、販売代理店契約等)など様々な種類があり、それぞれに個別の注意点がありますが、ここでは業務提携に共通する一般的な注意点を解説します。

➀ 交渉前に秘密保持契約を結ぶこと
 業務提携の交渉の過程では、ビジネスモデルや商品に関する御社の営業上、業務上の秘密を提携先に開示することになります。したがって、これらの情報が営業秘密としてきちんと管理されるように、秘密保持契約を結んでおくことは必須です。
なお、秘密保持契約は結んでいても、提携先から提出された書式をそのまま使っているため、提携先に有利な内容であったり、過去の契約書を使いまわしているために、重要な情報が保護できていないケースも散見されます。
また、契約書の内容に問題がなくても、契約書通りの運用をしていないケースも多く(例えば、口頭で伝えた秘密情報については、後日文書で「秘密情報」として特定しなければならないとされているのに、文書を渡していないなど)、いざ問題が生じた際に、秘密情報が保護されないという事態になりかねません。
秘密保持契約書は比較的使用する頻度の高い契約書ですから、自社の書式を準備し、また契約書に沿った運用がなされているか否かを日頃から確認しておくべきでしょう。

➁ 適切な内容の契約書を結ぶこと
業務提携は、売買のようにやるべきことが決まっておらず、また継続的な契約であるため、信用できる提携先との取引であっても、きちんと契約書を作成して、契約内容を明らかにしておくべきです。担当者と口頭で確認していたとしても、担当者が変わって口約束が反故にされる可能性もありますし、株主の変更や合併などにより、提携先の社風が変わってしまう可能性もあります。
上記のとおり、共同開発契約、製造委託契約、販売委託契約等、各契約の種類に応じて定めておくべき事項や注意点は異なりますが、提携する業務の内容とその役割分担に関する規定、成果物の権利関係や知的財産権の取り扱いに関する規定、損害賠償に関する規定、解除に関する規定については、特に問題があることが多いので、弁護士に相談して法的なチェックを依頼した方がよいでしょう。

業務提携は、他社の技術やノウハウ、資金を利用してビジネスを拡大できるチャンスですが、提携後のトラブルも多く、契約の内容をあいまいにすると予期せぬ紛争に巻き込まれてしまう可能性があります。
これから一緒にビジネスを盛り上げていく話をしているときに、後ろ向きの話をしにくいという気持ちもわかりますが、プラスもマイナスも理解して、お互いに利益を享受し合える関係を構築することが、業務提携を成功させる秘訣です。

適切な契約書を作成して、自社も提携先も幸せになるような業務提携を結んでください。

(弁護士 水関寿量)